「ゴミうんち展」という展覧会からの着想とは、なんとも現代的な発想の飛躍である。排泄という人間の最も原始的な営みから決済システムへと思考が跳躍する様は、まさにダダイズムの精神を彷彿とさせる。
「Poop Pay」なる決済システムを構想するにあたり、我々はまず排泄行為の本質的意味を問い直さねばならない。それは単なる生理現象ではなく、人間存在の根源的な営みである。毎日、規則正しく、平等に、誰もが行う行為——これほど民主的で普遍的な行動が他にあろうか。
「Poop Pay」は、排泄回数を通貨単位とする革新的決済システムとして構想されうる。一回の排泄を「1ウンチ(UNC)」と定義し、これが基本通貨となる。健康な成人であれば、一日平均1-2ウンチを「採掘」できるという、極めて公平な経済システムが成立する。 このシステムの秀逸さは、インフレーションの抑制にある。人間の排泄回数には生理学的上限があり、過度な通貨発行は不可能である。便秘に悩む者は自然と節約家となり、下痢に苦しむ者は一時的な富裕層となる——なんという皮肉に満ちた経済学であろうか。
認証システムには「トイレ・ブロックチェーン」を採用する。各トイレに設置されたセンサーが排泄行為を検知し、匿名性を保ちつつ取引を記録する。プライバシーと透明性の絶妙なバランスが、この決済システムの信頼性を担保するのである。 「Poop Pay」は単なる決済手段を超え、人間の尊厳に関する哲学的問いかけでもある。我々は排泄という行為に恥辱を感じるよう社会化されてきたが、それを価値創造の源泉として捉え直すとき、新たな人間観が開けるのではないか。
かくして、ゴミうんち展から着想されたこの決済システムは、現代資本主義への痛烈な風刺でありながら、同時に人間の生理的平等性を基盤とした理想的貨幣制度への提言でもあるのだ。